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国道204号線を星鹿方面へ車を走らせること約5分。海からの寒風が身にしみる1月下旬、昼下がりの港には漁船が静かに停泊し、数名の漁師さんたちが談笑しています。そんな風景を横目に見つつ、山手へちょっと上った城山のふもとのお寺。ここが今回訪ねる浄土寺。現在、住職を務めておられるのは第30世香林亮善(かばやしりょうぜん)和尚。気さくで元気、ユーモアも兼ね備えたご住職です。 |
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浄土寺は平戸誓願寺第五世明蓮社源誉(みょうれんじゃげんよ)上人が浄土宗布教のため慶長11年(1606)、開山されました。来年は開山400年という記念すべき年にあたり、さまざまな行事を計画されているそうです。 |
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浄土寺で特筆すべきなのは総代会から子供会まで、多種多彩な檀家さんの活動です。星鹿に唯一のお寺ということもあってか、その団結力には驚かされるものがあります。
「総代会は年に1度行われる研修旅行です。私(住職)と役員、役員同士の親睦と研修を兼ねています。宗派を問わず見聞を広めるために行っていて、例えば五島に行った時などは教会を訪ねました。また、お寺には珍しいコーラス部があるんですよ。いろんな行事の際には、31名の女性コーラスによる讃仏歌が響き渡るんです。正直なところ、美しいコーラスの後には(長い)お経はあげづらいですね。(笑)」
その他の活動を紹介しましょう、とおっしゃる住職の後について行くと、そこには多彩な活動を撮った写真がずらり。そこで目をひいたのが「浄土寺劇団」という写真。伺うと住職自ら脚本を書き、出演までされたとか。しかし残念ながら、今は活動休止中だそうです。また横には「和船競漕大会優勝」という写真。これは星鹿で2年に1度開催される和船競漕大会でのことだそう。ここでも浄土寺は大活躍。檀家さんと住職で結成したチームで出場した第一回大会では、なんと優勝。前回は惜しくも優勝を逃したため、第3回目の今年、密かに雪辱を狙っておられる様子でした。
そんな浄土寺と檀家さんのさまざまな活動〜その団結力の源はやはり住職の人柄と精力的な活動にあるようです。現在、広報紙としてもう20年間、発行されている『あったかぼさつ』。そこには堅苦しい話はほとんどなく、住職の日常や檀家さんが主人公のエピソードが面白おかしく掲載されています。その筆致からは、住職が地域(檀家さん)を愛情いっぱいに見守る様子がうかがえます。 |
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このお寺を訪ねる際、山門脇で目にとまったカエルのオブジェ。気になったので聞いてみました。
「あれは近所に住む私の叔父が、打ち上げられたブイで作ったものです。もとは長崎夢総体が開催された際に『(選手に)無事おかえり』というメッセージを込めていくつか作ったものが、好評で、いまや全国へ送っているんですよ。」
一通りの取材が終わった後、住職に案内されその叔父さんのところへ、そして城山の展望台へも案内していただきました。とても気さくで精力的な住職。そしてそんな住職のいる浄土寺を慕い、より所とする星鹿の人々。開山当初から変わらぬ場所に建つ浄土寺は400年間、ずっと星鹿の人々を支え、また支えられてきました。そして、これからもずっとお寺と地域の“いい関係”は変わることなく続いていくのでしょう。 |
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この記事は平成17年2月20日発行のメモリアルだより(松浦版)第6号に掲載されたものです。 |
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