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時折そよぐ爽やかな風に、本格的な秋の到来を実感する十月初旬の午後。見返橋から小佐々町内へ車を走らせること約10分。楠泊大橋を越え、楠泊交流会館から山手へ入ったところに建つお寺。ここが今回訪ねる光福寺。今年で約370年ほどの歴史を誇るお寺です。
現在、住職を務めておられるのは第十四世 佐々木了之(りょうし)住職。若い副住職と二人でお勤めされています。 |
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開基は元禄二年(1689)、加賀(石川県)から移り住んだ佐々木祐願が松浦鎮信公より寺号を受けたことに始まります。当時の寺は古郷(現在の西川内免)にあり、楠泊に移ったのは正徳五年(1715)のこと。現在の本堂は昭和九年に再建されたものです。
光福寺は平戸往還沿いに位置するため、その昔は長崎へ行く道すがら平戸のお殿様も休憩に立ち寄られていたというエピソードが残っています。なかでも第八世の誓道住職は松浦熈(ひろむ)公ととても親しくしていたそうで、お寺には熈公からの贈り物が残されています。 |
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住職と副住職、二人三脚の布教活動。特に副住職の活動は精力的です。定例の法座活動や各種行事はもちろん、ビハーラと呼ばれる病院や老人福祉施設への出張訪問相談なども定期的に行っておられます。
「病気のお年寄りが法話によって心の安らぎを得られればと思って始めましたが、寂しさや孤独感も解消されると好評で、もう10年近く続けています。また子どもたちを対象にした日曜学校はもう22年続いているんですよ。最近は少子化で、子どもたちの遊ぶ姿もあまり見なくなりましたが、ここでは門徒さんに限らずキリスト教の子どもたちまで一緒になって遊んでいますよ」副住職はにこやかに語られました。また副住職の坊守(奥さん)はピアノ教室を開いておられ、こちらも17年を数えるそうです。 |
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そんな熱心な活動があっても、若い世代のお寺離れが進んでいるそうです。そういう門徒さんに話を聞くと“お寺の敷居が高く感じる”という声が返ってくるのだとか。
「現在のお寺離れには、2つの問題点があると思います。1つ目は環境面の変化。核家族化でお仏壇のある家が減り、お寺とのつながりや信心が希薄になってきていることが挙げられます。これについては、お寺参りを習慣づけていただくようお話しています。そして2つ目は、お寺に求めること、求められることへの考えの違いですね。最近の人は、誰かが亡くなった時にお寺や仏教の世話になるものだと考えているようですが、これは大きな誤りです。仏教とは、今生きている私たちの苦しみを和らげるためにあるものなんです。よく門徒さんからは『お寺には行かんけど、(お寺からは)離れんから安心してよかですよ』などと言われますが、そういう問題じゃないんです。もっと信仰が生活に根付くような布教をしていかなければならないなと感じています」 |
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すっかり夕方になった帰り道、道ばたに目をやれば漁具を手入れしている漁師さんの姿。光福寺はこんな漁師町の光景を、これからもずっと見守り続けていくことでしょう。 |
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この記事は平成17年11月6日発行のメモリアルだより(佐々版)第2号に掲載されたものです。 |