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どんよりとした冬ならではの天気が続く12月の中旬、見返橋から鹿町方面へ車を走らせること約五分。小さな交差点を海側へ入っていくと、閑静な集落の小高い場所に静かにたたずむこぎれいな本堂が見えます。ここが今回紹介する称名寺。現在、住職を務めておられるのは第三世 濱芳龍(ほうりゅう)さん。ぼくとつな感じのするご住職です。 |
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ご住職が三代目ということからもわかるように、称名寺は昭和に入ってから建立された新しいお寺です。平成16年には老朽化した本堂が新築されました。この本堂、計画から約3年半というスピードで完成に至ったといいます。
「こういったご時世ですから、本堂改築のお話が持ち上がっても実際に建て始めるのはもっと時間がかかると思っていました。それが三年という短い期間で建築を着工させることができたのは、一重に門信徒さんたちの熱意あってのことです」ご住職は目を細められ、感慨深げに話されました。 |
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最盛期に比べれば数も少なくなったとはいえ、漁港があり船の往来も少なくない臼の浦地区。昔は船でお詣りに来る人も多かったそうです。
「宗派を問わず宗教離れが話題に上りますが、高齢化や核家族化、そして若い人が地元を離れることなどによってお詣りする人は年々減っています。当寺も例外ではありません。しかし本堂が新しくなり、少しずつですが若い方のお詣りが増えているんですよ。仏さまに手を合わせる彼らを見ていると、まだまだ信仰心は失われていないと感じます。これも本堂落慶に尽力いただいた門信徒さんたちの熱意あってのことだと思います」 |
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寒空のなか案内を受けたのは本堂脇にある鐘衝堂。一見すると普通の鐘衝堂ですが、ここ十年来除夜の鐘を衝きに来る人が増えているのだとか。
「除夜の鐘は百八つと制限を設けていることが多いものです。しかし除夜の鐘衝きは宗教行事でもある一方、仏教文化を伝える”イベント“的な側面もあります。そのためできるだけ大勢の方に鐘を衝いていただきたいとの思いから特に制限をしていません。そのため町内外から大勢鐘衝きにいらっしゃいます。なかでも子供が多いですね」
確かに除夜の鐘はお寺に足を運ぶいい機会だと言えなくもありません。ただイベント的な側面ばかりとらえるとだめだと仰います。
「大晦日には私もずっと境内に出ているのですが、仏さまのいらっしゃる前にきて合掌もできないような子供が増えたのは残念なことだと思います。せっかく鐘を撞くのであれば、私を含めた周りの大人が鐘を撞く意味を始め、礼儀作法まできちんと伝え、教えていかなければいけないなと痛感しています」 |
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婦人会は元気に活動を続けているそうですが、高齢化しているのが気がかりとおっしゃるご住職。しかし本堂落慶の例にもれず、熱心な門信徒さんに支えられている称名寺。これからも地域の信仰のよりどころとして、人々とともに歩んでいくことでしょう。 |
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この記事は平成21年1月11日発行のメモリアルだより(佐々版)に掲載されたものです。 |